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アフガニスタン・パキスタン人道支援 プログラムアーカイブ

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アフガニスタン・パキスタン人道支援 プログラムアーカイブ

アフガニスタン・パキスタン人道支援

現地の声

「子ども保健教育」の大切さ

「この教室で最年少の子は?」という質問に、1人の少女がすっと手を挙げ立ち上がった。そしてぼくの隣に来てちょこんと座った。ファリザ(9歳)はバーミヤン州サイダバッド村の4年生。セーブ・ザ・チルドレンが支援する「子ども保健教室」に通う。白のスカーフに包まれたその表情に笑みが絶えない。保健教室で何を学んだの、と尋ねると彼女は嬉しそうに話してくれた。「手が汚れた時や、ご飯を食べる前は、きれいに手を洗うようになったわ。ばい菌が体に入って悪さをしないように」。

この教室では、週2日、村の学校に通う子どももそうでない子どもも、民家の一室に集まり、手洗いの大切さや寄生虫の怖さ、ハエ媒体の病気、応急手当の方法などをポスター教材や写真素材、ロールプレイを通じて学んでいく。学校のカリキュラムには保健衛生や栄養の授業はない。だから、この教室に通う子どもたちは、自分の健康について学べる機会に興味津津だ。

子ども保健教室の特徴は、年齢の異なる子ども同士がお互いに教え学び合う「Child to Child」という手法を用いていること。中高生の子どもたちがファシリテーター役となり、同じ村の年下の子どもたちに保健授業を進めていく。子どもたちは地元のバザールでも手に入る卵や玉ねぎ、芋、ニンジン、オレンジ、マスカットなどの野菜や果物の種類や特徴、栄養素の基礎について学ぶほか、下痢や風邪になった時の対処法についても学ぶ。子どもたちは保健衛生や栄養の知識を深めるだけでなく、学んだことを日常の暮らしでしっかりと実践している。カレイトリム村の少女オディラ(9歳)もその一人。「家で食事のお手伝いをする時も保健教室で教わったことを思い出すの。野菜は水できれいに洗って拭いて、お肉もきちんと火が通るように気をつけているわ」。

こうした情報と実践が、子どもを介して各家庭やコミュニティへと広がっていく。サイダバッド村の少年シヤッド(12歳)は、「お腹を下した時は砂糖と塩水を混ぜて飲むと、水分も摂れて身体にやさしいと学んだよ。ぼくの姉さんや兄さん、弟にもその話をした。きょうだいが病気になったら、ぼくがしっかりと看病をしてあげるんだ」。ファリザも、「保健教室で学んだことをお兄ちゃんに伝えたら、お兄ちゃんもお母さんも驚いていたけど、とっても喜んでいたよ」と教えてくれた。

子どもたちと接するといつも感じるのは、アフガニスタンの多くの子どもたちは新しい知識を吸収する高い学習意欲を持っていることだ。そして、学んだことを身近なところで実践へと移す活用能力も持ち合わせている。

アフガニスタンは今、復興の真っただ中にある。それでも、開発指標をみると、まだまだたくさんの課題が横たわっている。たとえば、5歳未満児の死亡率は10人に1人という割合で 、世界でも1、2位を競う高さだ。そして、下痢やはしかといった治せる病気で、今も、多くの子どもたちのいのちが失われている。慢性的栄養不良への対策と削減においてはあまり進展が見られず、子どもの3分の2が発育阻害で、3分の1が低体重である。さらに、子どもの健康や栄養、教育状況と密接に関係している女性の平均識字率も、わずか18%と低迷している 。こうした窮状を打開するためには、じっくり腰を据え、草の根で取り組んでいくことが求められる。アフガニスタンの復興と開発、子どもたちの生存状況を改善するには地道な努力が不可欠。道のりは長い。

子ども保健教育の機会は、人びとの暮らしを向上させる小さな取り組みの一つだ。でも、子どもたちは着実に日々の自分の生活に変化をもたらし、また、自信を高めている。そして、将来像を描き、夢も持つようになっている。

「将来、お医者さんになって、病気で苦しんでいる人たちを助けてあげたい――」  ファリザの澄んだ瞳が一層輝いた。

セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン